スタッフブログ

知って得する病気シリーズ ”胆嚢(たんのう)の病気”

今回は私、進が担当させて頂きます☆彡

さて何を書こうかと考えていましたが、先日まで入院していた患者さんのことを書いてみようと思います。

患者さんは7歳のミニチュアダックスフンドの男の子です。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

患者は体重減少や食欲減退があり、明らかに黄疸(結膜、口腔、皮膚など可視粘膜が黄色化した状態のこと)が見られるとのことで来院されました。血液検査では、肝酵素値の上昇や黄疸指数(総ビリルビン)が上昇しており、腹部超音波検査では胆嚢内にゼリー状物質が貯留している、いわゆる胆嚢粘液嚢腫(*)状態でありました。胆嚢エコー

(*胆嚢粘液嚢腫とは* 胆嚢内にある胆汁が時間をかけて胆泥(たんでい)からゼリー状に変化して胆嚢内に充満した状態。この状態になると黄疸症状や最悪の場合胆嚢破裂の危険性もある。エコーで見るとキウイフルーツの割面のように見える特徴的な所見が得られることが多い)

患者さんは明らかに弱ってきており、胆嚢内容物が総胆管(*)に閉塞している状態でしたので、内科治療では限界があり外科治療を選択することになりました。

(*総胆管とは* 胆嚢から小腸(十二指腸)へと胆汁をながす一本道の管のこと。総胆管にゼリー状物質や胆石が詰まると急激に黄疸が悪化するので、要注意!!)

外科治療は、ゼリー状物質が2度と貯留しないようにする胆嚢切除と総胆管の洗浄になります。手術は約2時間で無事終了しています。入院して静脈点滴と抗生物質治療を続けていますが、黄疸の症状も徐々に改善してきており、食欲や元気も戻ってきています(*^。^*)

胆嚢の病気でよく質問される内容を2つ挙げておきます。( ..)φメモメモ

★胆嚢は切除しても大丈夫ですか?

胆嚢は胆汁を貯めているだけですので、切除しても問題はありません。胆石の患者さんでは胆嚢を残すことで再発率が上がることも知られているので、外科治療を選択する時は必ず胆嚢切除を薦めています。

★病気が疑われると言われたけど症状もなく元気です。どうしたらいいですか?

肝臓や胆嚢の病気ではこのパターンによく遭遇します。この問いに答えるときにはそれ以外にいくつ肝臓や胆嚢の異常を疑う所見があるかで判断しています。具体的には症状は無いけれども、肝酵素の異常は?肝機能検査の異常は?腹部超音波検査での異常は?・・・。それ以外にも体重の減少や飲水量が増えるなど分かりにくい症状もあるので要注意です。これらを総合的に判断して、家族の皆さんと現状の把握から今後起こりうることまでを時間をかけて相談していきます。最終的には家族の意向に耳を傾けながら、患者にとって最良と思われる治療選択肢を選んでもらうようにしています。

胆嚢の病気は、人間と同じように犬でも中年齢から高齢で多く遭遇する病気です。重篤になると命に関わることもある病気ですので、不安なことがあれば近くの病院でしっかり見てもらってください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をお楽しみに。(@^^)/~~~

 

 

 

 

2013年06月16日 カテゴリー:スタッフブログ